気象衛星ひまわり6号(MTSAT-1R)の中間赤外データから雲粒の大きさの指標となる3.7ミクロン帯雲反射率および雲粒有効半径を算出する手法を確立した。中間赤外データは従前のひまわリシリーズにはなく6号から新たに搭載されたセンサである。算出された雲粒有効半径の値を、周回軌道衛星TerraおよびAquaに搭載されている高波長分解能・高空間解像度のセンサMODISから得られる雲粒有効半径と比較したところ、妥当なものであることが確認できた。算出手法についてリモートセンシング分野の国際誌International Journal of Remote Sensingに投稿し、受理された。 一方、中国の気象衛星FY2-Cにもひまわりと同様の中間赤外のセンサが搭載されている。FY2-Cはひまわりの有効視野外となる中央アジアから南アジアの地域の観測が可能であり、日中の静止衛星のデータを用いることにより、アジア域全体の雲性状環境の解析が可能となる。京都大学防災研究所で受信しているFY2-Cから3.7ミクロン帯雲反射率および雲粒有効半径を算出した。また、2009年12月25日からはFY2-Cの後継機であるFY2-Eに移行したため、FY2-Eからも算出できるように環境を整備した。ひまわりおよびFY2の両衛星から算出された雲粒有効半径はウェブにて公開しており、広域アジアの雲性状環境を準実時間で監視できる体制を構築することができた。
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