まず、本テーマに関する文献レビューを行い論文化した。具体的には、土壌微細鉱物および無機成分による土壌有機物動態の制御を整理するため、膨大な文献の中から比重分画法を用いたものに焦点を当てて、レビューを行った。これにより、土壌有機物プールのうち、微細鉱物によって分解抑制が起こりやすいプールの分離・定量化の目途がたった。 同時にH20年度は、化学的な分解抑制メカニズムによって安定化されている土壌有機物の定量化を行った(現在継続中)。具体的には、土壌無機成分の化学性評価に使われてきた選択溶解法を改良した手法開発をおこない、鉱物表面への吸着および鉄・アルミニウムイオンとの錯体形成・沈殿している有機物の定量化を試しみている。この新たな手法によって、これまで不明であった「化学的な安定化作用が土壌有機物の蓄積にどの程度貢献しているか」という問いに、定量的な解答が得られる可能性がある。よって、この研究は、土壌炭素プールの長期動態や温暖化応答プロセスの理解やモデル改良に重要な情報を提供すると考えている。尚、この実験結果は、H21年度の国際会議で発表予定である。
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