研究課題
水域生熊系において、ウィルスによる感染は生物の重要な死亡要因となっている。本研究ではウィルスの粒子吸着過程に着目し、コイヘルペスウィルス(KHV)およびλファージをモデルウィルスとして懸濁物質がウィルスの分布と生残性に与える影響を検証することにより、水域生熊系において懸濁物質がウィルス感染に与える影響を評価することを目的とする.当該年度は、1)懸濁物質およびその堆積物からのウィルスの検出手法の確立、2)ウィルスが吸着しやすい懸濁物質および水質の推定を行うこと身目的とし、以下の結果を得た。1) 泥を含む堆積物からウィルスの抽出・検出方法を比較・検討した。その結果、PCRによるKHVおよびλファージの検出に成功した。これまで、泥を含む堆積物からウィルスを検出した例は非常に少なく、本方法は他のウィルスの検出への応用も期待できる.また、毎年KHV病の発生が確認されている琵琶湖において調否を行った結果、懸濁物質と堆積物にもKHVが存存することを初めて明らかにした。2) 代掻きにより発生した鉱物粒子を多く含む濁水に、KHVおよびλファージを添加し、懸濁物質からのウィルス検出を試みた結果、懸濁物質へのウィルス粒子の吸着が確認され水中のウィルスが懸濁態の鉱物粒子に吸着することが示された。このことは、懸濁物質が水環境中でウィルスの動態に影響を与えていることを示している。また、代掻きなど人間活動がウィルスの動態に影響を与えている可能性を示唆する重要な知見である。
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Veterinary Microbiology 135
ページ: 261-266
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http://www.chikyu.ac.jp/mhonjo/index.html