研究課題
当該年度は、野外観察および室内実験を用いて、1.どのような懸濁物質にウィルスが吸着しやすいのかを、質的・量的な観点から明らかにすること、2.ウィルスの生残性を評価するため、宿主細胞を用いた培養実験の準備・感染力評価の方法検討を行うことを目的とした。1. 昨年度の研究で、濁水中の鉱物粒子にウィルスが良く吸着することが明らかとなったため、本年度は鉱物の質に着目し、異なる質の鉱物に対するウィルスの吸着の違いを実験的に比較した。異なる場所で採取した湖底堆積鉱物(泥と砂利)を含む水に既知量のコイヘルペスウィルス(KHV)を添加し、一定時間撹拌後、鉱物中のKHVを測定した結果、砂利に比べ泥に多くのKHVが吸着することが明らかになった。野外調査では、琵琶湖につながる伊庭内湖を調査地として、2009年4月から月1回以上の頻度で水中および懸濁物質が沈降した結果の堆積物中のKHVの検出・定量を行った。昨年度と今年度の調査結果から、水中より堆積物中により多くのKHVが濃縮されていることが明らかになった。現在も調査と分析を継続中で、水質・堆積物の質とKHVの存在量からKHVの動態と懸濁物質、堆積物の関係を解析予定である。2. ウィルスの生残性評価のため、2009年6月に養殖研究所よりKHVを分譲していただき、宿主細胞を用いた培養実験の準備・感染力評価の方法検討を行った。環境中に含まれる目的ウィルス以外のカビや細菌等の除去が今後の課題であり、引き続き生残性評価の方法検討を行う。
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Applied and Environmental Microbiology 76
ページ: 161-168
Applied and Environmental Microbiology 75
ページ: 6900-6904
http://archives.chikyu.ac.jp/archives/AnnualReport/Viewer.do?prkbn=R&jekbn=J&id=89