研究概要 |
アイスコア中の試料には古い時代の微生物が低密度で存在しており,アイスコア中の微生物から過去の環境情報を読み取るなどの信頼性の高い解析をおこなうためには,試料採取時および実験室内からのコンタミネーションを極力排除し,ネガティブコントロールを押さえたDNA分析などが必要であることから雪氷微生物分析法の確立をおこなった.またすでに雪氷微生物が季節変化することがわかっている北アルプス内臓助雪渓で雪氷試料のサンプリングを行ない,これまでに技術的問題が残されていたごく少量の雪氷試料からのDNA抽出や,PCR増幅などの作業を行った.次にこの地域より細胞数密度の少なく,アイスコア試料も得られているグリーランド氷床の雪氷試料を用いての分析をおこない,分子生物学的手法や種同定のプロトコルを確立の確立をおこなった.得られた微生物の遺伝子情報を解読し,DNAデーターベースと照合させることで,雪氷環境中にはどのような種類の微生物が生息しているのか推定をおこなった.また,各種ネガティブコントロールやポジティブコントロールを用いた検出実験を行い,確立したプロトコルの信頼性および再現性の確認をおこなった. 細胞数の少ない雪氷試料中のバクテリアの定量分析をおこなうために,共焦点レーザー顕微鏡を用いて各種微生物のDNA量とサイズ・形態の分析をおこないアイスコア中の微生物の基礎的情報を得る分析をおこなった.バクテリアをグループごとに蛍光試薬で染め分ける手法や,ターゲットになる微生物に特有の塩基配列に付着する蛍光色素を作成し,蛍光顕微鏡で撮影した画像を画像解析することによって特定の微生物量を正確に検出する方法の開発をおこなった.
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