研究課題
南極アイスコア中に含まれる微生物は、氷期、間氷期サイクルなどの過去の気候変動と連動して変化している可能性があり、これら微生物の多くは、南極大陸外の陸域から風により飛来してきたものと考えられる。アイスコア中に含まれる低濃度の微生物を鉱物粒子などの存在下でも定量的に検出する為に、昨年度から共焦点レーザー顕微鏡を用いた2種類の蛍光色素の波長特性を検出する方法(スペクトル法)を検証し、画像解析ソフトと組み合わせた細胞の自動定量法の開発のための予備実験を実施してきた。本年度は、核酸、タンパク質、細胞膜などに特異的に結合する計16種類の蛍光試薬の微生物への染色特性、非生物粒子への非特異的な結合などを考慮し、蛍光顕微鏡および共焦点レーザー顕微鏡解析に適した蛍光色素の選出をおこなった。この結果、核酸染色試薬においてはYOYO-1(Molecular Probes,Invitrogen社)が蛍光観察、レーザー観察において最も明るく、かつ退色が少ない事が明らかとなり、アイスコア試料を対象とした微生物カウントにおいて適している事が明らかとなった。また核酸と膜の多重染色をした培養株では、両者が明瞭に染め分けられているバクテリアは、核酸のみ染色した微生物と比べてカウント数が非常に少ない事から、検出感度を向上させる結果とはならなかった。このことから鉱物粒子などを多量に含むアイスコア試料においては感度の高い核酸染色試薬のみの単一染色で観察する事が、最も検出感度の高い観察方法である事が示された。
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