研究概要 |
本年度は,流域の仮想集水域指標の分析に必要となる,研究設備の更新とデータの収集・分析を行った。 研究設備の更新については,当初の予算執行計画にはなかったが,地理情報システム(GIS)で扱うデータ量が増大し,また,衛星データも分析対象として扱えるように研究環境を整備する必要が生じたことから,計画を変更して,高性能のワークステーションを導入した。これにより,森林GISや衛星データの分析を行った。 流域を対象とした具体的な分析として,福島県の会津地域にある,只見川流域を対象に,地理データや衛星データの収集・分析を行った。流域における水資源の涵養には,森林の分布や活性状況が関係していることから,それらの評価を行った。民有林については,森林GISのデータを収集し,小班ごとの成長量に基づいて炭素蓄積量を推計した。国有林についてはデータが入手できなかったため,原単位を用いた推計とした。只見川流域における炭素蓄積量は,森林経営(FM)率を考慮した場合,平成18年時点で年間約6万4千~12万6千炭素トン程度と見積もられた。只見川流域では,植生自然度9の自然林が4割程度を占めており,その多くは国有林で,国有林における炭素蓄積量は全体の6~8割程度を占めているなどの結果が得られた。一方,衛星データとしては,流域における森林の活性度を見るため,Terra/MODISの衛星データを入手し,現在分析を進めているところである。
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