研究概要 |
本研究の目的は、環境モラルに基づく人々の自発的行動を促進するような政策や経済的手法(価格インセンティブ政策)の有効性を評価し、望ましいポリシーミックス等について考察することである。平成20年度は、これまで開発を進めてきた新しい要因分解手法の改良、それらを用いての実証分析、加えて、環境モラルに基づく人々の自発的行動のモデル化についての検討、を中心に行い、以下のような成果を得た。 1. 価格インセンティブ政策の有効性を検証するために開発した新しい要因分解手法を改良し、石油危機時のデータを用いて、結果を再評価した。その際、他の代表的な手法とも比較しつつ、エネルギー消費量や二酸化炭素排出量の変化における価格要因とその他要因の寄与を求めた。当手法は生産(効用)関数を明示的に仮定することにより、それらが暗黙的である他の分解手法と比べて結果の解釈が容易であり、価格代替も理論と整合的である。当手法のこのような優位性を実際のデータを用いた実証分析の結果から確認した。 2. 環境モラルに基づく人々の自発的行動のモデル化について検討した。Francois (2000)やBrekke, et.al. (2003)などを参考に、自己の消費から得られる効用と公共的な関心から得られる効用を明示的に分けたモデルを構築した。今後、当モデルを用いて、価格インセンティブ政策や環境モラル向上政策が人々の自発的行動をどのように変化させるのかについて分析する予定である。
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