研究課題
本研究の目的は、環境モラルに基づく人々の自発的行動を促進するような政策や経済的手法(価格インセンティブ政策)の有効性を評価し、望ましいポリシーミックス等について考察することである。平成21年度は、これまで開発を進めてきた新しい要因分解手法の改良と実証分析、加えて、環境モラルに基づく人々の行動のモデル化、を中心に行い、以下のような成果を得た。1.価格インセンティブ政策の有効性を検証するために開発した新しい要因分解手法「多時点カリブレーション分解分析」(MCDA)のモデルを改良し、実証分析を行った。具体的には、産業・財の種類を再構成し、より精確な分析を行うことができるようにした。そして、他の分解手法を用いた研究結果やボトムアップの知識と照らし合わせることで、石油危機後、主に1980年代の技術進歩の動向について、結果を再評価した。当分析の結果より、我が国において、価格要因では説明できない技術変化要因が、エネルギー効率性を約6割程度向上させたことを示した。2.環境モラルに基づく人々の行動のモデル化を行った。Francois(2000)などを参考に、利己的な関心から得られる効用と公共的な関心から得られる効用を明示的に分けたモデルを構築し、厚生分析を行った。今後、当モデルを用いて、発展途上国における開発プロジェクトの有効性について、報酬体系の違い(成果主義と非成果主義)から評価する予定である。本研究の結果から得られる知見は、他の様々なスキーム(PESなど)にも応用可能であると考えられる。
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Energy Economics (印刷中)
Environmental Engineering and Management, Athens Institute for Education and Research(M.Theophanides and T.Theophanides, eds.)
ページ: 37-48
CD Proceedings of the 5th Dubrovnik Conference on Sustainable Development of Energy Water and Environment Systems (CD-ROM)