アジア地域は、経済発展に伴って急激な都市化と産業化が進行している。これらの現象は、アジア諸国に富をもたらす一方で、甚大な環境汚染、天然資源消費への圧力、富裕層と貧困層の差の拡大など、複雑に絡みあう諸問題の原因となっている。経済発展、資源消費圧力それぞれにおいて、アジア地域が世界に対して占める割合は増加の一途を辿っており、すなわち、この地域のサステイナビリティの実現が、世界的にも極めて重要な意味を持つことになる。持続可能な社会を構築する上では、その評価方法の確立が重要な鍵となることから、本研究では、アジア地域の中でも、とりわけ中国およびベトナムの「都市部」を対象として「持続可能性/サステイナビリティ」を定量的に評価する手法の開発を目的としている。本研究では、特に次の3つを実施することにしている。 1) 「都市」レベルの持続可能性を多面的に測り取る評価システムの開発を行う。 2) 開発した評価システムを、中国およびベトナムの都市地域に適用して、持続可能性/サステイナビリティを定量的に評価する。 3) 本研究にて開発した手法の、「都市」持続可能性評価への適用度、有効性を検証する。 平成20年度(今年度)は、社会経済あるいは環境関連の多様な指標群を無次元のスコアに落としこみ、持続可能性を表現する「統合スコア」を算出する方法を開発した。また、この方法を用いて、中国全省の統計データをもとに、各省ごとの相対的な持続可能性をスコア化して、サステイナビリティの観点から中国の現状分析を行った。この研究成果は、英文ジャーナル(下記)にて掲載されることになった。また、ベトナムにおいては、ホーチミン市とハノイ市のそれぞれの都市において、現地の大学の協力も得ながら持続可能性に関わる指標群の経年データの取得を進めた。
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