超短パルス・単色・高輝度という特徴を持つ軟X線レーザーを培養細胞程度の大きさまで集光できるパルス軟X線マイクロビーム照射装置を開発し、X線照射によって誘発される放射線影響に関する研究を実施する。本年度は、超短パルスレーザーを用いたレーザープラズマX線(8keV)を用い、可視光顕微鏡下で照準を合わせた試料(細胞)の位置にX線ビームを細胞集団程度の大きさまで集光し照射することが可能な軟X線マイクロビーム照射装置の開発を行った。可視光顕微鏡下でサンプル(細胞)の照準を合わせ、軟X線照射を実現するために顕微鏡の一部に保有するミクロン単位の位置制御可能なステージを付加することで可視光による観測と軟X線照射光学系とがミクロン単位で精密調整可能な装置を製作し、保有している真空容器に組み合わせた。本年度は、装置調整のため軟X線レーザー照射実験が実施できなかったが、細胞へのX線照射装置部分の開発に関して実施することができた。また、本装置を用いて複数のがん細胞へのX線照射を行い、放射線影響を確認する基礎的な実験を行った。X線照射後、リン酸化H2AXの免疫蛍光染色を行い蛍光顕微鏡で観察することでDNA二本鎖切断が生じた細胞を確認し、実験手法についての確率を行った。これらの実験の成果に関して、8th International Workshop on Microbeam Probes of Cellular Radiation Response及び、11th International Conference on X-ray Laser等の国際会議において発表を行った。今後、軟X線レーザー(90eV)を用いた実験を行い、軟X線(極端紫外光)領域の放射線に関しての放射線影響に関する実験を行う。
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