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2008 年度 実績報告書

ヒラメにおける水酸化PCBsの体内挙動と生体影響に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 20710052
研究機関愛媛大学

研究代表者

仲山 慶  愛媛大学, 沿岸環境科学研究センター, 助教 (80380286)

キーワードマイクロアレイ / 環境 / 農林水産物 / 有害化学物質 / トキシコゲノミクス
研究概要

ポリ塩化ビフェニル(PCBs)の代謝物である水酸化PCBs(OH-PCBs)はPCBsと同様に環境中に偏在している。OH-PCBsの毒性影響として甲状腺ホルモンに対する拮抗作用が知られているが, 同影響はin vitroで確認されているのみであり, in vivoでの生体影響はほとんど明らかにされていない。OH-PCBsは母体より次世代へと移行することが知られており, 移行したOH-PCBsが化学物質暴露に対して最も敏感な初期胚に対して何らかの影響を及ぼすことが推測される。特に, 甲状腺ホルモンは発生期における脳神経系の形成に重要な役割を担っていることから, OH-PCBsによる神経形成への影響が懸念される。したがって, 本研究ではヒラメ胚を対象としてOH-PCBsが神経形成に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。受精後24時間が経過したヒラメ初期胚に対して4-hydroxy-2', 3, 5, 5'-tetrachlorobiphenyl(4-OH-TCB)を1, 10, 100 ppbの濃度で暴露し, ふ化するまで15℃で飼育した。ふ化したヒラメ仔魚をホルマリンにて固定し, 抗α-tubulin抗体を用いて末梢神経を免疫染色し, 共焦点レーザー顕微鏡にて観察した。その結果, 受精後90時間(64時間暴露)の全ての4-OH-TCB暴露濃度区の個体において, 頭部顔面領域を支配する末梢神経である側線神経と三叉神経の形成異常が引き起こされた。典型的な影響として, 神経束形成阻害による末梢神経軸索の網状化や, 非特異的な伸長による軸索投射部位の異常が観察された。一方で, 脊髄神経には顕著な影響は観察されなかった。これらのことから, 4-OH-TCBはヒラメの頭部神経の形成に対して重篤な影響を及ぼすことが明らかとなった。また, 1 ppb区においても顕著な影響が観察されたことから, 4-OH, TCBはpptレベルの極低濃度であってもヒラメの神経形成に影響を及ぼす可能性があり, 今後最小作用濃度や無作用濃度を明らかにし, 環境中でのリスクを評価する必要がある。

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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