現在、最終廃棄物量が年間4800万トンにも達しており、大きな社会問題となっている。平野部が少ないわが国では、処分場の大半が内陸や山間部に立地しており、浸出水の漏洩による飲料水源の汚染を招きかねない。また、廃水中重金属処理には、キレート剤などの重金属捕集剤を大量に用いているが、重金属自体は無害化されておらず、捕集された重金属は最終処分されるため完全に安全とはいえない。酸化チタンは光触媒作用により、有機物を分解・無害化すると同時に、汚染水中の重金属イオンを還元して無害化するポテンシャルも有している。また、スメクタイトなどの粘土鉱物は、大量の金属イオンをインターカレートし固定化することができる。光触媒とインターカレーション双方の長所を同時に発現できるハイブリッドセラミックスを作製し、汚染水中の重金属の無害化と固定化を、簡便で効率的に行う技術の開発を目指す。本提案は、光触媒を用いた重金属イオンの還元、無害化とインターカレーションによる重金属イオンの固定化を行うものであり、環境修復技術、エンドオブパイプ技術に適用できる。 モンモリロナイトを用いた3価Crの固定化試験を行ったところ、粘土鉱物からNaとCaが溶出し、溶液のpHが上昇した。そのため、Crの固定化が阻害される結果となった。Fe203を用いた3価Crの固定化試験を行ったところ、一定の効果が見られた。Cr固定化に大きく影響するのはpHであることが推定され、今後Cr固定化能力のpH依存性の調査が必要である。また、他の粘土鉱物による3価Crの固定化試験、亜鉛等の他の重金属の固定化試験も今後の課題である。
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