本課題では、光触媒である酸化チタンを用いて有害元素イオン種の酸化および還元反応を行い、処理性の高い化学種に変換すると同時に、着法や沈澱法にて有害金属を除去・回収する手法を開発した。また、酸化チタンと吸着剤を組み合わせたハイブリッド粒子(HYB)を通水式反応器へ応用し、連続処理装置の実用化を検討した。平成21年度は以下の検討を行った。 1) 光触媒酸化を用いたAs(III)や有機ヒ素化合物の光酸化 H20年度の結果より、酸化チタンと吸着剤を組み合わせた手法により、難除去性のAs(III)や有機ヒ素化合物の光酸化除去が可能であった。また、HYBを用いることで、カラムを用いたAs(III)の除去が可能であることが分かった。21年度では、HYBを充填したらせん型カラムを光源の周りに配置した連続処理装置の設計を行なった。最終的に10mg/Lのヒ素化合物を含む処理水のヒ素濃度を水質基準である0.01mg/L以下まで低減することが可能であった。 2) 光触媒還元を用いたSe(VI)の処理 H20年度の結果よりSe(VI)の光還元除去において、Se(VI)は還元されてコロイド状のSe(0)沈澱となり、水相から除去が可能であり、HYBを用いることで、TiO_2粉末を用いる反応と比較して、有害なギ酸の添加量を削減することが可能であった。本年度は、HYB調製時における焼結温度、粒子径等の最適化を行った。また、実排水として、高濃度のSe(VI)を含む煤煙脱硫排水にっいて、本法の適用を検討したところ、過剰なギ酸の添加が必要であったが、煤煙脱硫排水を模擬して調製した排水中のSeを排水基準(0.1mg/L)以下にすることが、可能であった。Se(VI)の光還元においては、コロイド状の金属Se沈澱が生成するため、1)で検討したようなカラムを利用することが困難であった。
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