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2008 年度 実績報告書

原子スケールの構造揺らぎと光誘起相転移ダイナミックス

研究課題

研究課題/領域番号 20710075
研究機関筑波大学

研究代表者

寺田 康彦  筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 助教 (20400640)

キーワード光誘起相転移 / 構造ゆらぎ / 走査プローブ顕微鏡 / 表面・界面物性 / 金属-絶縁体転移
研究概要

本研究では、レーザ光照射と走査トンネル顕微鏡(STM)法を組み合わせることにより、欠陥などの原子スケールの構造ゆらぎと光誘起金属-絶縁体相転移との関係を局所的かつ動的に調べる。系の局所相状態は、STMによる構造観察および走査トンネル分光法(STS)による電子状態観察によって同定する。また、相転移の動的挙動は、フェムト秒パルスレーザを用いた時間分解STM法により調べる。本年度は、Si(111)表面上に作成したインジウム(In)ナノワイヤー系について、レーザ光未照射時(暗状態)と照射時(明状態)での相状態を調べた。暗状態ではほとんどの領域が金属状態であったが、明状態ではほとんどの領域で絶縁状態となっていた。この結果は、レーザ光照射によって相転移が誘起されていることを示している。この金属-絶縁体相転移の発現機構として、Si基板のバンドが表面付近で湾曲しているために、基板から最表面In層に電荷が注入されて、In系の電子状態が変化して転移が誘起されるというモデルを提唱した。さらに、レーザ光照射だけでなく、探針-試料間電圧を変えることによっても相転移を制御できることが明らかになった。この場合、探針の作る電場の空間広がりはナノメートルスケールであり、局所的な相転移制御が可能となるだろう。本研究で明らかになった相転移現象および制御法は、これまで報告例がなく、全く新しい機構に基づくものである。この方法は、可逆的かつ高いスイッチング速度での相転移制御を可能とし、また、他の低次元金属/半導体基板系にも適用できる可能性が直いため、光スイッチや光センサーなどへの応用も期待できる。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2008

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] Optical doping : active control of metal-insulator transition in nanowire2008

    • 著者名/発表者名
      寺田康彦
    • 雑誌名

      Nano letters 8

      ページ: 3577-3581

    • 査読あり
  • [学会発表] Novel control of metal-insulator transition in nanowire by optical doping2008

    • 著者名/発表者名
      寺田康彦
    • 学会等名
      The 16th International Colloquium on Scanning Probe Microscouv (ICSPM16)
    • 発表場所
      熱川ハイツ(静岡県)
    • 年月日
      2008-12-12
  • [学会発表] Optical Control of Metal-Insulator Phase Transition in In/Si(111)Nanowire2008

    • 著者名/発表者名
      大久保淳史
    • 学会等名
      表面科学とナノテクノロジーに関する国際シンポジウム(ISSS-5)
    • 発表場所
      早稲田大学国際会議場
    • 年月日
      2008-11-11
  • [学会発表] Optical control of metal-insulator transition in nanowire2008

    • 著者名/発表者名
      寺田康彦
    • 学会等名
      第4回真空・表面科学アジアオーストラリア会議 (VASSCAA-4)
    • 発表場所
      くにびきメッセ(松江市)
    • 年月日
      2008-10-29
  • [学会発表] In-Si(111)ナノワイヤー金属絶縁体転移の光制御2008

    • 著者名/発表者名
      大久保淳史
    • 学会等名
      2008年秋季第69回応用物理学会学術講演会
    • 発表場所
      中部大学
    • 年月日
      2008-09-05

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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