| 研究概要 |
ゼオライトLSXでは内径約0.7nmのβケージと内径約1.3nmのスーパーケージがそれぞれダイアモンド構造で配列している.申請者は最近,LSX中に配列したアルカリ金属ナノクラスターがフェリ磁性秩序を示すことを発見した.この物質系では,アルカリ元素の種類とクラスター当たりの電子数を極めて広範囲で変化させられるが,本研究課題開始以前には,ごく僅かな化学組成の領域しか調べられていなかった.また,このフェリ磁性の発現機構は明らかになっていない.そこで本研究では,ゼオライトLSX中に配列したアルカリ金属ナノクラスターが示すフェリ磁性について,1.クラスターの化学組成に対する磁気相図を明らかにし,2.フェリ磁性の発現機構を解明することを目的としている.そのために,Na-K合金クラスターについて種々の組成の試料を総計200本程度作成し,磁化率測定,分光測定を行い,フェリ磁性の発現する化学組成領域を明らかにし,電子状態を調べる.また,より発展的な物性測定である強磁場磁化過程やμSR測定を組合せ,磁性を詳細に調べ,フェリ磁性発現機構を解明する.
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