研究課題
前年度の成果を元に、まずテンプレートとなるグラフトコポリマーと様々な金属塩の反応を行った。トリフルオロ酢酸銀および酢酸パラジウムとの反応において、グラフトコポリマーの幹鎖のC=Sのみに選択的に金属塩が付加する条件を見出した。得られた金属塩を含むグラフトコポリマーを、透過型電子顕微鏡(TEM)で観察したところ、ナノレベルで金属が線状に配列していることが分かった。さらに原子間力顕微鏡(AFM)を用いた観察を行ったところ、グラフトコポリマーの特徴であるグラフト鎖同士の排除効果のために、幹鎖がからまらずに比較的直線上に存在できることが分かった。マイカ上に作成したサンプルは屈曲していたが、グラファイト上に作成したサンプルは、グラファイトの結晶面に沿ったと考えられる直線状の形状をしていた。金属付加したグラフトコポリマーのAFMフェイズイメージは、ワイヤーの幅方向に対して中心が堅く、周辺が柔らかいことを示し、目的の含金属ナノワイヤーが得られていることを持した。また、金属付加していないグラフトコポリマーのフェイズイメージは、ポリマーの柔軟さのために不明瞭であったが、全体的に同程度の堅さであった。含金属塩ナノワイヤーは、テトラヒドロホウ酸ナトリウムなどによって還元可能であり、ゼロ価の金属が配列した含金属ナノワイヤーに変換することもできた。この含金属ナノワイヤーは、近赤外領域にまで吸収を持つため、光電変換材料などとしての応用が期待される。この研究をさらに含金属ナノ粒子の合成へと拡張し、高屈折率ナノ粒子の合成に成功した。
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