1、高効率な燃料電池触媒の開発のために、安価な銀微粒子をコアとし表面に白金修飾したコアシェル触媒は有効である。また多くの触媒反応は表面構造に活性が依存するため、高活性な表面が露出した触媒の合成が必要となる。そこで、ナノ微粒子の表面構造を制御するために、まずコアとなる銀微粒子の形状を制御した。燃料電池触媒における白金触媒の活性はPt(110)〜Pt(100)>Pt(111)となることが知られている。コアとなる銀の表面を(100)面に規制できれば、修飾した白金もコアの表面構造と類似した(100)面が露出することが期待できる。そこで立方体型銀微粒子を合成した。界面活性剤を含む溶液中で銀アンミン錯体をグルコースにより還元し高選択的に立方体型銀微粒子を合成した。透過電子顕微鏡で形状を確認後、グラファイト基板に担持させた。水溶液中でも安定に存在するか確かめるため、原子間力顕微鏡による構造観察を行なった。電位の印加によっても脱離することなく安定に存在している。臭化カリウム溶液中で電流電位曲線を測定したところAg(100)電極と同様な曲線が得られたことから立方体型銀微粒子の表面構造は(100)面が露出していることを明らかにした。 2、ナノ微粒子電極と単結晶電極の電気化学特性の相違を明らかにするために、表面が(100)面と予想される立方体型白金なの微粒子を合成した。ポリアクリル酸ナトリウム溶液中で塩化白金酸イオンを水素還元することにより立方体型白金ナノ微粒子を合成した。電流電位曲線を測定したところPt(100)に類似した曲線が得られたが、表面構造は原子レベルで平坦ではなく、ステップ構造を持っていることが明らかになった。また一酸化炭素(CO)の酸化を調べたところ、微粒子の稜がCO酸化の活性点であり、面は単結晶表面と同様な特性を示した。電気化学的にナノ微粒子の表面構造を明らかにできることが可能にした。
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