研究概要 |
本研究では新しいアプローチからカーボンナノチューブ(CNT)情報処理デバイスの開発を目的としている。新しいアブローチとは「新しい情報処理CNTデバイス開発のために自然界で行われている非線形な情報処理・自己組織的構造形成を模倣する」ということである。目標達成のために以下の三点に着目し研究を遂行してきた。それは、第一に金属錯体溶液を用いた基板上への自己組織的構造形成,第二にその構造を利用したCNT構造体の作製,第三にそのCNT構造体による新しい情報処理システムの開発である。これまでの研究により上述一つ目の「金属錯体溶液を用いた基板上への自己組織的構造形成」と二つ目の「金属錯体溶液により形成された構造を利用したCNT構造体の作製」についてはその実現可能性を見出し論文により報告を行ってきている。三つ目の「CNT構造体による新しい情報処理システムの開発」については現在予備的な研究を行っている。平成21年度研究において基板上構造体形成のプロセス条件の明確化を進めた。具体的には鉄錯体(フェロイン,1,10フェナントロニウム鉄錯体)について濃度を複数種類用意し構造体の形成を試みた。得られたデータを基に作製条件と構成物との相図をまとめることができた。この研究成果について学会などで報告を行った。さらには研究を遂行している過程で基板上に作成旨した構造体によりCNT成長の密度制御を非常に簡単に行える可能性も見出している。
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