光導波型基板の偏光特性を利用した高感度かつ高S/N比の蛍光測定装置の開発と、この装置を用いた蛍光標識タンパク質の高感度検出を試みた。 高感度かつ高S/N比の蛍光測定装置を開発するために、偏光した励起光を光導波型造基板に照射し、検出器直前での励起光の偏光状態と蛍光の偏光状態をそれぞれ調べた。この結果、検出器直前では励起光は偏光しているのに対して、蛍光はほぼ無偏光であることがわかった。この結果より、検出器に入射する光の偏光状態を制御し、励起光が検出器に入射することを抑制する装置を作製した。本装置と光導波型基板を用いて、蛍光物質のRhodamineBを測定したところ、通常の蛍光検出方法に比較し、約10倍の測定感度の向上と、約10倍のS/N比の向上が確認された。 また、本装置を用いて、蛍光標識のタンパク質の検出を試みた。実験では、モデルタンパク質としてCy5標識のIgGを測定対象とした。シランカップリング剤によって光導波型基板表面をアミノ化し、グルタアルアルデヒドを用いて抗IgG抗体を固定化した。この基板上でCy5標識のIgGの測定を行った。この結果、光導波型基板のAl_2O_3の膜厚が80nmのとき、通常のがガラス基板に比較しIgGを約15倍感度良く測定できることがわかった。 以上の結果より、本研究を通して、高感度かつ高S/N比の蛍光測定装置の開発ができた。また、本装置を用いることで、蛍光標識のタンパク質を既存法よりも15倍程度感度良く測定することに成功した。
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