研究課題
集束イオンビーム誘起堆積Pt冷陰極の電子放出パターンと電子放出サイトを電界放射顕微鏡および電界イオン顕微鏡を用いて観察した。電界放射顕微鏡像から、特徴的な縞状の電子放出パターンを観測した。また縞状の電子放出パターンは室温測定では不安定であるが、冷却すると安定することが分かった。これらの縞状の電子放出パターンは、フラウンホーファ回折モデルでの計算結果と比較的よい一致を示した。更に、縞状電子放出パターンを観測した時の電子放出サイトを電界イオン顕微鏡により観察を行った。縞状の電子放出パターンが観測されたときの電界イオン顕微鏡像ではPtナノ結晶の結晶サイズ(2~3nm)以下の距離で離れた隣接する二点の電子放出サイトを観察した。縞状の電子放出パターンではないときは、電子放出サイト間の距離はPtナノ結晶の結晶サイズよりも離れていた。電界放射顕微鏡像と電界イオン顕微鏡像から、Ptナノ結晶の結晶サイズよりも短い距離の電子放出サイトでは電子波干渉が生じ、それ以外では電子波干渉が起こらないと仮定して、フラウンホーファ回折モデルでの計算を行ったところ、電界放射顕微鏡像と良い一致を示す計算結果が得られた。これらの結果は、縞状の電子放出パターンは、一つのPtナノ結晶中の隣接する二点の電子放出サイトから生じた電子波の干渉パターンであることを示している。この成果を平成21年7月に浜松で開催された第22回国際真空ナノエレクトロニクス会議において発表した。
すべて 2009
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (4件)
Journal of Vacuum Science & Technology B 27
ページ: 721-724
Japanese Journal of Applied Physics 48
ページ: 06FF12