研究概要 |
本研究の目的である「ナノ・マイクロエンジニアリングにおける数理的最適化の展開」について,平成21年度の研究計画に従い,「問題構造の特徴を生かした高速な数理最適化アルゴリズムの構築」を行なった. (1) 誤差の不連続性を考慮した精密工学におけるロバスト最適化問題の解法の構築 誤差に強い最適化手法として,従来からロバスト最適化という手法が提案されてきたが,これらの手法では誤差に不連続性がある時のモデル化が議論されていなかった.今年度の研究においては,この種類の誤差が発生する際の精密なモデル化を行うことに成功し,また計算機実験によって従来の手法より誤差に格段に強い最適解が求まることを確認した.この成果は,従来の(連続的な)ロバスト最適化手法と,整数計画問題に代表される離散的な手法を組み合わせた独創的なものであり,今後の発展が期待される. (2) 計算が難しい問題に対する高速な近似アルゴリズムの開発 精密工学に限らず,何らかの移動コストを最小化する問題はしばしば現実社会に現れるが,これらの問題は計算が非常に困難なことが知られている.今年度の研究において,従来近似アルゴリズムの構築が難しいと考えられていたいくつかの間題について,入力のサイズに依存しない定数近似アルゴリズムを構築することに成功した.
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