研究課題
繰り返し実行型離散事象システムのスケジューリング問題を検討対象として、平成22年度は応用・実験フェーズでの検討、特に、システムサイズが大きい場合の、Dioid代数系での状態空間表現の高速な計算方法について集中的に検討した。状態空間表現中の計算のボトルネックは、具体的には重みつき隣接行列に対するクリーネ閉包と呼ばれる行列、あるいはその行列と状態ベクトルとの積の計算にある。これらの計算を、(1)並列処理などを用いた実機ベースでの高速化と、(2)アルゴリズム論など理論面での高速化、の二つの側面で検討した。(1)では、家庭用ゲーム機や3Dテレビなどで採用されているCELLプロセッサと、GPGPUと呼ばれるグラフィクス処理用のプロセッサとでそれぞれ実装を行い、同時期に発売された代表的なCPUと比較して、10倍~20倍程度の高速化を達成した。実装に用いたアルゴリズムは、単なる高速化への寄与のみならず、プロセッサのコア数に対してスケーラブルな計算速度向上効果が得られている。また(2)では、クリーネ閉包単体の計算ではなく、クリーネ閉包と状態ベクトルとの積を直接計算するアルゴリズムを考案し、時間計算量の削減に成功した。さらに、状態方程式をブロック単位での行列表現に変換したのち、いくつかの基本モジュールに分割し、特に疎な隣接行列を有するシステムに対する計算が効率的に行える方法を考案した。その結果、ノード数をn、アーク数をmとした時に、従来法では0(n^2)であった状態方程式の時間計算量が、0(n+m)にまで短縮された。
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