研究概要 |
大きく分けて以下の二種類のリアルオプションの研究を行った. 1. コーポレートファイナンスにおける企業の投資問題の分析 2. リアルオプションモデルによるケーススタディ 研究1では, 企業の資金調達や最適資本構成の問題と企業の最適投資戦略の問題を結びつけ, (i)経営者, (ii)株主, (iii)債権者という3種類のプレーヤーを考慮したリアルオプションモデルの構築と分析を行った. 多くのリアルオプション研究では, 投資資金は用意されているものとして取り扱われるが, 実際には, 企業(特に, 多くのリアルオプションモデルが想定する起業家やベンチャー企業)が投資を行う際には投資資金の調達が重要な問題となる. そこで, 本研究は資金調達という側面も考慮したリアルオプションモデルを構築して, 企業の資金制約が投資に与える影響などを明らかにすることができた. コーポレートファイナンスに関する研究については, 多数の学会発表を行うとともに, 6編の論文が, 現在, 国際学術論文誌で審査中である. 一方, 研究2では, 「大学のブランド価値と定員数の調整」, 「企業の新卒採用者数の調整」に関する実証研究を行った. 前者では, 私立大学の定員割れを防ぎ大学のブランド価値を保つための最適な定員削減戦略をリアルオプションの手法を用いて導出した, 後者では, 不確実性が企業の新卒採用行動に与える影響についてリアルオプションの理論モデルから推測される結果と整合的であるか否かを統計的に検定した, これらの研究についても, 多数の学会で既に研究発表を行い, 現在, 成果を2編の論文にまとめている段階である.
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