研究概要 |
互いに競合関係にある複数の企業が存在する状況で, ある企業が他企業の配置を考慮して自らの最適な配置を決定する問題は一般に競合施設配置問題と呼ばれ, 配置場所が線分上(Hotelling, 1929), 平面上(Hakimi, 1983)(Drezner, 1994), ネットワーク上(Okunuki, 2002)(古田, 2005)などの従来研究が行われてきた. しかし, これらの研究は確定的な状況下を取り扱っており, 曖昧性や不確実性が存在する状況下は考えられていない. 本研究では, 特にネットワーク上の施設配置問題に対して, 曖昧性と不確実性が同時に存在する状況下での新しい均衡解の概念およびその効率的な解法を構築するとともに, 曖昧性や不確実性の度合いが企業間の均衡状態に及ぼす影響について明らかにすることを目的とする. まず, 都市をネットワーク上の点で表現し, 規模の異なる需要(需要点)が存在するものとして2つの企業が交互に施設を配置する状況を考えた. 各需要点は最も近い施設を利用するものとし, 各企業が獲得する購買力がファジィランダム変数で与えられる2レベル計画問題として定式化した. ファジィランダム変数は確率分布関数と同時にメンバシップ関数で特性付けられているため, ここでは正規分布を仮定し, メンバシップ関数については三角型(線形)および釣鐘型とした. このような問題設定において, 配置について優先権をもつ上位レベル企業の配置に対する下位レベル企業の最適反応戦略の定義および拡張型Stakelberg均衡解の定義とその存在条件を求めた.
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