研究概要 |
近年,人口密度の高い都市を点(ノード),都市間を結ぶ幹線道路や線路などを枝(アーク)としてネットワークで表現した場合の競合施設配置問題に対する合理的な解概念および解法が精力的に研究されている.一方,意思決定の現場においては,専門家や熟練者による判断や見積もりが重要な役割を果たしており,そこに含まれる曖昧性を適切に表現することが要請される.また,景気変動などに伴う需要の変化などの不確実性の考慮が不可欠である.本研究では,ネットワーク上の競合施設配置問題に対して,曖昧性(ファジィ性)と不確実性(ランダム性)が同時に存在する状況下での新しい解概念および効率的な解法を構築することを目的としている. 前年度では,2つの企業の配置戦略によって決定される利得をファジィランダム変数で表すことにより,2レベル計画問題として定式化した後,配置について優先権をもつ上位レベル企業の配置に対する下位レベル企業の最適反応戦略の定義および拡張型Stakelberg均衡解の定義を行い,解の存在条件を明らかにした. 今年度では,前年度に定義した新たなStackelberg均衡解の定義に基づいて,最適解が均衡解となるような非線形計画問題を定式化し,タブー探索法の近似解法を組み込んだ均衡解導出アルゴリズムを構築した.また,C言語を用いて均衡解を計算するプログラムを作成し,現実の問題を例として数値実験を行い,提案モデルの具体的な応用例を示した.
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