本年度は昨年度後半に検討を行ったノルム制約を課したVaR、CVaR最小化に基づくインデックス・トラッキング・ポートフォリオ選択モデルについて、国際数理計画法シンポジウムISMP2009(シカゴ、米国)、INFORMS Annual Meeting(サンディエゴ、米国)、UC Berkeley(米国)、Stanford University(米国)でのセミナーや日本金融・証券計量工学学会JAFEE夏大会(法政大学・市ヶ谷キャンパス)で成果の発表を行い、国内外の研究者との意見交換を行った。 年度中盤には論文の改訂を行い、適当な仮定の下で、ロバストなVaR、CVaR最小化ポートフォリオ・モデルが、ノルム付きVaR、CVaR最小化モデルに帰着できるという新しい理論的な結果を追加すると同時に、実際の株価データに対する実験においてパラメータのチューニング方法の再検討を行い、ノルム制約を課したモデルがそうでない伝統的なモデルに対して、統計的に有意に優れるという結果を追加した上で再投稿した。特に、ロバストVaR、CVaRモデルとの関係については、より実用的なモデルへと拡張する際に有用な知見となると思われる。 また、年度終盤には、昨年度まとめた分数計画に基づくモデルに関する論文の改訂に取り組み、計算実験を、改訂前の事前の結果のみ示したものから、パラメータのチューニングを明示し、事後的なパフォーマンスの評価を中心にしたものへと置き換えた。論文については近日中に再度投稿予定である。
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