研究概要 |
本研究では,移動速度推定手法の確立と救急車システムのシミュレータ開発に関する研究について取り組んだ.研究期間最終年度の研究実施計画は,提案する移動速度推定手法の確立と,それを用いた救急車システムのシミュレータを開発することである.これらに関する具体的な取り組みと活動を以下にまとめる. 1.これまでにおこなってきた救急データの分析を基に,移動速度の推定手法を実際のデータに適用し,移動速度の推定をおこなった,また,推定された移動速度を利用した救急自動車の移動時間データを作成し,本研究課題の最終目標である救急車システムのシミュレータを開発した.開発したシミュレータを用いて,既にいくつかの数値実験をおこなっており,主要な結果を南山大学数理情報学部オープン・リサーチ・センター第2回公開研究会にて発表した.また,論文としてまとめたものを国際学会(ISORA 2010)にて発表した. 2.研究会等において救急業務の諸問題について更なるヒアリングをおこない,開発したシミュレータの活用方法について,深い考察をおこなった.中でも,現在計画が遂行中である消防の広域化が招く「救急業務の合併」というテーマに着目し、本研究課題の発展に繋がる実験をおこなった.消防の広域化は,現在各自治体で運用している消防業務を合併・統合させ,スケール・メリットによる効率化を図ろうというものであるが,合併がおこなわれた際に救急業務がどのように変化するのかという詳細な予測は立てられていない.そこで,他大学の研究者を含めて議論をおこない,本研究課題にて開発したシミュレータを活用して簡単な数値実験をおこなった.その結果の一部を都市計画学会にて論文として発表し,また,その応用を福島大学研究交流会で口頭にて発表した.
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