研究概要 |
世界的な貿易不均衡が進行する中で,コンテナ船の寄港地では空コンテナの過不足問題が深刻化している.コンテナ船社は,寄港地での空コンテナの過不足を是正するために,膨大な回送コストを負担しなくてはならない.そのコスト負担は船社経営を圧迫している. その問題の緩和のために期待されるのが,折りたたみコンテナである.そのコンテナは,空のときに折りたたんで束ねて運ぶことができる.もし,折りたたみコンテナを導入することによって,空コンテナの回送コストを削減することができれば,船社のコスト負担が減り,コンテナ運賃の低減につながる.さらに,コンテナ貨物の商品価格が下がるので,世界経済の活性化につながる.しかし,折りたたみコンテナはいくつかの企業によって開発されているものの,いまだに普及していない,そのコンテナの商業ベースでの誘導に対しては,費用削減効果を明確にする必要がある.本研究では,次の研究内容を通じて折りたたみコンテナの費用削減効果を明らかにした. (1) コンテナ港の背後圏における空コンテナ輸送を対象とし,コンテナをネットワーク上のフローに見立て,回送コストの最小化を目的とした数理モデルの構築 (2) (1)のモデルを用いて,折りたたみコンテナと標準コンテナによる回送コストを比較し,折りたたみコンテナがどの程度の費用削減効果をもたらすのかを分析 それらより次の成果を得た.(1)では,整数計画モデルとして定式化を行った.(2)については,数値実験の結果,折りたたみコンテナは対象とするネットワークにおいて,費用削減に貢献できることが結論づけられた.本研究によって得られた成果を論文にまとめ,平成21年度に国際ジャーナル"Transportation Research Part E^<">へ投稿した.現時点ですでに当ジャーナルのオンライン版に登載されている.
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