研究概要 |
本提案検査手法の検査原理・現象解明と、検査に最適なセンサの形状や磁化条件の検討を行った。 検査原理の解明 六面体辺要素の有限要素法を使用した三次元交流非線形渦電流解析プログラムをベースとし、実測で求めた鋼管のヒステリシス曲線を用いてマイナーループを求める非線形磁界解析法を開発し、本提案検査手法の検査原理の解明を行った。厚み3mm鋼板の裏面の深さ1mm、幅0,5mmスリット状溝を検査した場合、鋼板内部の直流および交流磁界の振る舞いについて詳細に検討を行った。 まず、直流励磁電流3Aの磁化条件で静磁界のみを加えた場合、裏面欠陥モデルが無いときは、鋼板内の直流磁界は一様に分布しており、鋼板表層の磁束密度は1.26T程度であった。しかし、裏面欠陥モデルが存在する場合、直流磁界は欠陥を迂回して分布しており、鋼板表層の直流磁束は1.6T程度まで増加していることが分かった。次に、直流磁界を加えている上から交流励磁1kHz、0.5A(rms)を重ねて加えた場合、欠陥付近には交流磁界はほとんど発生していない事が分かった。これは、欠陥周辺では直流磁界が集中して分布しているため、磁気飽和領域に近づいた結果である。そのため、検査器を移動した場合、欠陥に検査器が近づくに連れて交流磁界の検出コイル信号が低下する結果が得られた。 実験と解析探傷比較 ここでは、実験と解析による比較を行った。比較は、交流磁化ヨークに巻いている検出コイル内に得られる磁束密度で行った。その結果、0,3%の誤差範囲内で両者ともよく一致する結果が得られた。 次年度は最適な検査条件の検討や実際の検査環境下における影響等を検討する予定としている。
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