核四重極共鳴(NQR)は物質に固有の共鳴周波数を測定する方法であるため物質の特定が可能であり、X線検査装置のみを用いる場合よりも正確な爆薬検知を実現する技術として期待されているが、NQR信号は元来微弱なものであり、現在の計測方法では特に低周波数側に共鳴を持つ物質の検知が難しく、多くの爆薬に対応するには感度の向上が望まれる。本年度前半は、NQR装置計測制御プログラムの信号処理部分のアルゴリズム変更を行い、NQR測定装置の高速化を実現した。現在も、他ボード採用または計測プログラム変更による高速化を継続中である。また、原子磁力計の基礎実験として、カリウムセルを用いた原子偏極実験を行い、カリウム原子気体のレーザー励起による発光を確認した。さらに、偏光度測定体系として、偏光ビームスプリッターとフォトディテクターを用いた偏光度測定体系を製作し、フォトディテクター計測・解析の基本プログラムを作成し、計測した光出力を平均値として表示し時間変化を継続的に測定可能とした。今後は差分解析処理等を追加していく予定である。
|