研究課題
若手研究(B)
ヒト由来ムチンやヒト由来IgA1ヒンジ領域の糖ペプチドPSTPPTPSPSTPPTPSPSをマイクロ波照射雰囲気化で合成し、立体構造解析を行った。下線で示した残基にN-アセチルガラクトサミン(GalNAc)および、core1構造(Gal-GalNAc)を有する糖ペプチドを合成した。その結果、糖を有しないペプチドでは9つのプロリンがcis-transの異性体を形成し、ペプチド全体として複数のコンフォマーを形成していたが、糖鎖修飾(特に2糖core1構造)を付加することによって、cis-transの異性化反応が大きく抑制され、トランス体がメインに存在していることが明らかとなった。糖鎖修飾されたセリンまたはスレオニンは、そのC末端側に存在するプロリンの異性化反応を大きく抑制することが明らかとなった。一般的なペプチド固相合成はC末端側から合成するが、その際、最初の残基がプロリンであるとき、次のアミノ酸をカップリング後の脱保護反応において環状ジペプチド構造(ジケトピペラジン構造)を形成してしまい、アミノ酸伸長が止まって収率が大きく低下することが知られている。これは、プロリンがシス体を形成するためであるが、本研究で得られた知見をもとに、2番目のアミノ酸を糖アミノ酸に置換したところ、プロリンはトランス体に固定され、ジケトピペラジン構造の形成を抑制し、アミノ酸伸長が起きた。本研究の結果として、糖鎖がC末端側の隣に存在するプロリンをトランス体として維持する効果があること(cis-trans異性化反応の速度を落とす)、C末端にプロリンが有する場合におけるFmoc固相ペプチド合成法に関してPCT出願を行った。
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