天然物からの試料調達が困難であって、詳細な生物活性の発現機能の究明が求められているアザスピラシドの化学合成による供給を目指してその全合成研究を行った。全合成に向けて以下二つの重要な成果を得ることができた。(1)光学活性α-アルコキシスタナンの実用的合成法の開発を開発した。本手法は、ラセミ体の二級α-ヒドロキシスタナンを折山らのキラルジアミン触媒を用いて不斉アシル化後、ワンポットで残りの鏡像異性体アルコールをMOMエーテル化して光学分割を行うものである。(2)鉄ポルフィリン錯体(Fe(TPP)OTf)を用いるアリルエポキシドのケトンへの異性化とアセタール化の連続反応を利用した新規FG環部の合成法を開発した。
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