研究概要 |
C-1027クロモフォアに代表されるクロモプロテイン系抗生物質は非常に強力な抗腫瘍活性を示す。活性本体であり9員環エンジインを中心に有する不安定なクロモフォアとそれを包接して安定化するキャリアータンパクの複合体であり,動的な活性発現機構やユニークなドラッグデリバリーシステムを発現している天然有機化合物として幅広い興味を集めている。合成研究も活発に行われているが,これまでにその全合成は達成されていない。 C-1027クロモフォアの合成を目的として研究を進め,最終工程の9員環エンジインの形成と脱保護に成功したことを質量分析計にて確認することが出来た。また生成したC-1027クロモフォアが水素引き抜きを起こした芳香環化体の核磁気共鳴スペクトル測定に成功した。これにより,提出されているC-1027クロモフォアの3次元構造を有機合成的に確認することが出来た。 一方,9員環エンジインの微細な構造変化により安定性が大きく向上しているケダルシジンクロモフォアについても合成を進め,問題であった2つの糖部の導入に成功した。さらにここから合成を進めクロモフォア保護体を合成することができた。
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