研究概要 |
N-メチルピロール(P)、N-メチルイミダゾール(I)を基本単位として構成されるPIポリアミドへindoleを介してDNAアルキル化分子であるCBIを融合させた、2本鎖テロメア配列をアルキル化するポリアミドを大量合成し、様々なテロメア長を持つガン細胞株や正常細胞株に対し、その培養系ヘテロメア標的アルキル化ポリアミドを添加して細胞増殖阻害効果を検討した。各細胞のテロメア長と細胞毒性との相関性は低く、どの細胞に対してもIC50が1μM以下になる強い毒性を示した。この結果は、テロメア標的PIポリアミドの塩基配列認識数が6塩基と、決して長いとは言えない配列数であるため、テロメア以外の領域にも数多く反応してしまった可能性、CBIによる反応が強力すぎる可能性などが考えられる。CBIによる毒性の強さは、白血病遺伝子を標的としたポリアミドでも同様で、遺伝子抑制効果よりも、細胞毒性の方が前面に出てしまう結果が得られた。 一方、PIポリアミドへ蛍光分子であるペリレンを融合させた分子を作成し、テロメア2本鎖領域へ特異的に結合してその時だけ特徴的な蛍光を発するようにデザインした小分子の合成にも成功した。この分子の結合様式を参考にして、11塩基数を認識するテロメア特異的DNAアルキル化剤の開発にも成功した。この分子により、従来型のヘアピン構造のDNAアルキル化剤では不可能であった塩基数まで読み分けることが可能となったため、生細胞中のテロメアに対する影響を詳細に検討していく研究を現在進めていると共に,アルキル化部位をCBIから別のユニットへ変更・改良した分子の開発も進行中である。
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