研究提案「In vivoセレクション法によるゲノムワイドなリボザイム探索」では、機能性RNAのうち自己切断型リボザイムの探索を目標に設定し、ゲノムから転写されるRNAを網羅的にライブラリー化した「ゲノムRNAライブラリー」から、大腸菌を用いたin vivoセレクション法による効率的なスクリーニング系を用いて新規リボザイムの探索と機能解明を行う。ゲノム中にコードされたリボザイムは、RNAレベルにおける遺伝子発現制御、オルタナティブスプライシングなど重要な生物学的機能を持つと考えられるが、新規なリボザイムを探索する方法論はこれまであまり研究されてこなかった。リボザイムをはじめとして、生物学的に重要な意味を持つ新たな機能性RNAの研究は、基礎研究、医療、診断など、生命科学における広い領域において重要なものとなる。 平成20年度は、大腸菌、枯草菌、ヒト、酵母などのゲノムからゲノムRNAライブラリーを作製し、大腸菌を用いたin vivoセレクションの実験系の立ち上げを行った。各種ゲノムを調整した後、ゲノムをDNA分解酵素(DNaseI)でゲノムDNAを部分消化した後、目的とする塩基長のDNAをゲル電気泳動法により分離してゲノムライブラリーを作製した。ライブラリーの塩基長はDNaseIの反応時間により自由に制御可能であることが確認できたことから、今回は100-200塩基長のゲノムライブラリーの作製を行った。現在は、作製しだゲノムライブラリーをPhe-tRNA合成酵素変異体の遺伝子上流に融合させ、大腸菌外の導入を検討している。
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