研究課題
細胞は与えられた増殖因子や分化誘導因子などの外的刺激に対して、様々な応答を示すことが知られているが、刺激に対応した特異性を決定する機構は未だ不明な点が多い。このシグナル伝達の本質的な問題を解くためには、様々なシグナル経路に関わる因子を網羅的に調べる必要がある。申請者は細胞内リン酸の網羅的同定および定量を行うための技術開発を行い、数千ヶ所のリン酸化部位の同定・定量を可能とするシステムを構築した。本システムを用いて、HeLa細胞におけるEGF,インシュリン、アミノ酸、TNFalpha、Jurkat細胞におけるT細胞受容体刺激、Namalwa細胞におけるB細胞受容体刺激、マウス繊維細胞におけるトロンビン刺激、酸化ストレス刺激、マウス脾臓より純化したB細胞におけるB細胞受容体などの刺激下でのリン酸化情報を取得し、のべ3万種類のリン酸化部位の同定と時間依存的な変動情報の取得を完了した。さらに、いくつかのプロテインキナーゼ阻害剤やsiRNAによるキナーゼノックダウンでシグナル伝達経路を撹乱した場合のリン酸化の挙動を解析した。これら取得した一連の大規模データを全て統合し、リン酸化モチーフやジーンオントロジーなどの機能情報の付加を行い、データベースを構築した。さらに、クラスタリングやパスウェイ解析によって各刺激の特異性を規定する要素の週出を行うことで、新規のシグナル経路間のクロストークやフィードバック機構の存在を見いだした。現在、分子生物学的手法等を駆使してより詳細な解析を進めている。
すべて 2009 その他
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http://www.bioreg.kyushu-u.ac.jp/saibou/index.html