研究課題
本研究課題ではイネ科植物の鉄認識メカニズムを解明するために、ムギネ酸・鉄錯体トランスポーターの3次元構造の解明を主な目的としており、平成21年度は合成した種々の標識ムギネ酸類を用いた機能解明研究、及びアルカリ不良土壌での農耕の実用化実験を課題としていた。平成20年度には、合成したムギネ酸類の構造活性相関研究を基に、ムギネ酸類への効率的な標識基導入法を確立することに成功した。そこで本年度ではこの手法を基に種々の標識基導入体の機能について検討した。その結果.クマリン誘導体を導入したムギネ酸が、ムギネ酸・鉄錯体トランスポーターを発現させた卵母細胞内に取り込まれ、ついで細胞内での発光を追跡することにも成功した。これよりムギネ酸類の植物組織内での挙動追跡を行い.その代謝経路の解明が今後明らかとなることが期待される。またベンゾフェノン誘導体等の光親和性ラベル体は、トンランスポーターを通過することから、トランスポーターの標識には立体的にさらに嵩高いラベルの開発が必要であることが明らかとなった。また、肥料としてのムギネ酸類の供給に前年度で確立した実用的合成法を適用するためには、原料となるL-アゼチジン-2-カルボン酸の安価な供給が必要不可欠であった。そこで、触媒的不斉反応を適用したアゼチジンカルボン酸の大量合成法の開発を行い、カラム精製を必要としない大量供給法の確立に成功した。今後、本法を用いてムギネ酸類の大量供給を行い、実際のアルカリ不良土壌での農耕の可能性を探る予定である。
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