研究概要 |
最終年度にあたる平成22年度は、(1)アチェ紛争と2004年スマトラ沖地震津波に伴う人の移動と社会の再編に関する研究発表、(2)流動性の高い社会における復興過程に関する研究発表、(3)海外出稼ぎインドネシア人に関するデータベース作成の準備を行った。 長年にわたる紛争と大規模自然災害の被災を経てインドネシア・アチェ州で域外居留民の存在を前提にした地方自治法が制定されたことの意義について論じた英語論文("Among Bangsa, Keturunan, and Daerah : Peace-Building and Group Identity in the Law on Governing Aceh, 2006". Yamamoto Hiroyuki etal.eds.Bangsa and Umma.Kyoto : Kyoto University Press.)を発表したほか、アチェ紛争に伴う難民・域内避難民の状況からインドネシアの国民編成について考察した論考を発表した(「インドネシアのアチェ紛争とディアスポラ」首藤もと子編著『東南・南アジアのディアスポラ』明石書店)。 また、スマトラの災害対応の事例を住居や生業の移動が日常的に行われている社会における復興過程としてその特徴を整理し、日本災害復興学会で発表した(「流動性の高い社会における復興」)。これと平行して、平成21年度に収集した海外出稼ぎインドネシア人に関する新聞記事にメタデータを付す作業を進めた。海外出稼ぎインドネシア人は東アジア、東南アジア、中東に展開しており、地理情報と結びつけた形でデータベースの作成を検討した。また、外国人学校が外国人労働者の社会統合に果たす役割についての予備的論考をまとめた(「サバ州にインドネシア人中学校」NNAマレーシア)。
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