本年度は、1. 南アフリカにおける第二次現地調査(2008年8月〜9月に3週間)の実施、2. 日本国内における外国人看護師受け入れについての情報収集、3. 2007年度に実施したフィリピン、南アフリカ第一次現地調査にもとづく成果の公表を中心に研究を実施した。 1. 南アフリカにおける第二次現地調査では、プレトリアとクワズールー・ナタール州のピーターマリッツバーグにおいて、保健省の人的資源担当者やアフリカ人看護師に対する聞き取りを行った。調査の結果、南アフリカでは、公立病院を中心に医師、看護師が慢性的に不足しており、外国人医師の受け入れも行われているが、医療人材不足の原因は海外への人材流出に限られないことが明らかになった。他方で、南部アフリカ諸国から南アフリカへの医師・看護師の流入は、1990年代半ば以降、原則的には認められていないこともわかった。よって、南アフリカを南部アフリカ諸国からの医師・看護師の主要流出先として捉える仮説は再検討しなければならないことが明らかになった。 2. インドネシア人看護師・介護福祉士候補生が来日し、フィリピン人看護師・介護福祉士候補生の来日も決定したため、2008年度にはこの問題に関する国際会議が日本で多く開催された。日本の看護協会や老人福祉施設が外国人看護師受け入れをどう受け止めているのかについて、看護師の集会や国際会議などを通じて情報収集を行った。 3. すでに実施したフィリピン、南アフリカ調査の成果は、看護師送り出し国からみた国際移動の課題・問題点を中心に、日本と南アフリカにおいて開催された4つの国際会議・ワークショップにおいて公表した。
|