本研究は、ジェンダー視点から、収入の個人と世帯、そしてその関係性を検討する。個人レベルにおいて労働市場で発現する男女間の賃金の格差・差別を検討し、世帯レベルでは世帯単位にみた男女の収入を検討する。その際、ジェンダー統計の視角を基礎にする。 具体的には4つの課題がある。(1)男女間賃金格差・差別について、要因分解手法の限界を配慮して、日英比較を行うこと。(2)片稼ぎ世帯、妻正規雇用型共稼ぎ世帯、妻非正規雇用型共稼ぎ世帯の収入構造を日英比較すること。(3)それぞれの世帯について世帯収入階級別夫妻間の収入比率を検討し、さらに夫間、妻間、世帯間の収入格差とそれらの関係を分析し、日英比較することである。(4)さらに、賃金/収入の「男性稼ぎ主」型の程度と生活できる程度かに注目しながら、制度や政策を含めてイギリスとの比較を行い、日本の諸制度・政策を考察する。
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