この研究は、現象学に属するミュンヘン・ゲッティンゲン学派の実践哲学を明らかにし、現代哲学のなかで正当な評価を与えることにある。ミュンヘン・ゲッティンゲン学派の特徴としては、必ずしも理論哲学の問題に限定されず、倫理学や美学にも強い関心を向けたことがあげられる。実践哲学というテーマを軸にしてミュンヘン・ゲッティンゲン学派にアプローチすることは、現象学のなかにおける実践哲学の可能性を探ることになる。 この研究においては、「感情」、「行為」、「意志」などのトピックを取り上げて、それらがミュンヘン・ゲッティンゲン学派のなかでどのように扱われていたのかに注目する。そのうえで、フッサールを中心とする現象学をつねに意識しながら、そのなかでの同学派の位置づけを明らかにする。
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