研究概要 |
本研究は、人格の変化の構造をとくに治癒と発達という視点から現象学的に分析することを目的としている。 本年度は、今までの研究を踏まえ、自閉症児の発達の構造について分析した単著『自閉症の現象学』を出版した。また治癒という観点からは、単著Hyperbole-Pourune psychopathologie levinassienne(『誇張法〜レヴィナスの精神病理学のために』)において、とりわけ外傷体験の哲学的な考察と、そこからの回復に関してその形式的な構造について基礎的な部分の研究成果を発表した。 さらに本年度から開始した研究として、とりわけ病的不安からの回復と人格の変容としての治癒という点に主題を絞り、「『存在と時間』を不安と治癒の現象学として読む」「沈黙と回復〜メルロ=ポンティの主体変容論」「主体変容〜現実受容の装置としての夢と物語」を執筆した。""We did not know what happened to us"-A Phenomenology of Reality"もこの主題に属する口頭発表である。 またこの研究のための現象学と精神病理学を接続する方法論的な基盤の考察として"The Phase of afection,the Sphere of Apparition-Fundament for the phenomenological psychopathology"と「現実触発への還元〜非超越論的現象学へのプロレゴメナ」を口頭発表した。
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