研究概要 |
今年度はコミュニケーションの問題を軸に、治癒と発達の問題を研究した。以下の表に挙げたほかにも、発達障害についての臨床家や教育関係者を対象とした研究会などで発表・講演を行うと共に、国立成育医療センターでのフィールドワークを行っている。また医師や看護研究者との研究会にも積極的に参加して、研究課題に関する知見を広げている。 コミュニケーションに関して、自閉症、定型発達、および心理臨床といった場面ごとに考察を行い、このテーマに関して4本の論文出版(「うそとは何か~現象学的分析」,「超越論的テレパシーを貫く治療者の欲望フッサールとドルト」,"De la telepathie transcendantale-La communication et la creativite selon Winnicott",「創造性と知覚的空想~フッサールとウィニコットを巡って」)と2件の学会発表を行った。 また自閉症児の時間意識についての論文を1本("Temporalite chez les autistes-a travers la theorie du sens chez Marc Richir")、心理臨床をメルロ=ポンティを軸に考察した論文を1本("Silence, style, reve : Merleau-Ponty et la metamorphose du sujet")、共にフランス語で発表している。さらに外傷体験とその治療に関する論文をフィンランド語で1本出版している("Emme tienneet mita meille tapahtui-Nakokulmia todellisuuden fenomenologiaan"("We did not know what happened to us"-A phenomenology of reality))。 主体変容論という研究課題全体に関しては、過去二年の研究をまとめる形で現在著作を準備中であり、来年度中の出版を目指している。
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