(1)昨年度に引き続き、未公開の因明文献を中心とした文献のデジタル化と公開作業を行なった。文献のデジタル化においては、文字コードベースのテキストデータベース化だけでなく、刊本の画像データベース化も試験的に行った。後者について、現時点では画像マークアップなどを行う予定はないが、余力があれば取り組みたいと考えている。また、昨年度より一部のテキストデータおよびメタデータをMediaWiki(http://kura.hanazono.ac.jp/wiki/)上で公開しているが、今年度はそれをさらに充実させることができた。なお、Wiki上での各ページの名前の付け方や返り点マークアップの方法等について、改良の必要があると考えている。 (2)上記テキストデータベースの整理の過程で逸文の収集を行うことができた。しかし、上に述べたようなWikiページ名の改良の問題もあり、当初予定していたアルバイトを用いた調査やNグラムモデルによる文献比較調査を開始するには至っていない。これらについては、来年度以降に行いたいと考えている。 (3)論理式の形式化については、因明が基体-属性ベースの意味論的な性格を持っていることを踏まえ、コンピュータ上でそのような知識表現を行っている先例が多い文字情報処理の方法論について検討を行った。加えて、形式化の参考のために、近現代における西洋の論理学と因明とを比較する先行研究を検討した。
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