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2009 年度 実績報告書

ジャック・デリダの思想とデモクラシー概念の拡張

研究課題

研究課題/領域番号 20720018
研究機関筑波大学

研究代表者

佐藤 吉幸  筑波大学, 大学院・人文科学研究科, 講師 (90420075)

キーワード新自由主義 / 新保守主義 / 例外状態の常態化 / 法措定的暴力 / 法維持的暴力 / セキュリティ / 歓待 / 友愛のポリティクス
研究概要

本年度は、ジャック・デリダの『友愛のポリティクス』、『法の力』と、カール・シュミット『政治的なものの概念』、『独裁』、『政治神学』を並行的に読解しつつ、新自由主義=新保守主義の時代における「例外状態の常態化」(ベンヤミン/アガンベン)という事態について検討した。デリダとベンヤミンによれば、現代的な権力の特徴は、法措定的暴力と法維持的暴力との分離の「停止=止揚」であって、その際に法措定的暴力は法維持的暴力によって「反復されている」。これが意味するのは、グローバリゼーションに伴う「セキュリティ」への関心の増大に伴って、現代の主権権力が、既存の法律の適用にとどまらず、しばしば行政命令という非立法的な手段を通じて法律を「発明」し、セキュリティの確保を図ろうとする、という事態である。こうした「例外状態の常態化」という統治パラダイムの実例を、ジョージ・W・ブッシュ政権下のアメリカ合衆国における対テロ政策、また、サルコジ政権下のフランス共和国における、2005年に起きた郊外での暴動への対抗措置に見出すことができる。こうした事態は、シュミットの概念を用いれば、敵=異質者を排除するための「委任独裁」の常態化に相当する。デリダが「友愛のポリティックス」や「歓待」といった概念を提唱しているのは、新自由主義=新保守主義の時代における、このような「例外状態の常態化」という事態に対してなのである。
こうした観点に基づいて、新自由主義=新保守主義時代の権力メカニズムを考察し、それを著書『新自由主義と権力』にまとめた。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2010 2009

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] レヴィ=ストロースと「象徴的なもの」の生産2010

    • 著者名/発表者名
      佐藤嘉幸
    • 雑誌名

      現代思想 38巻1号

      ページ: 232-238

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 結晶イメージに逃走線を引くこと2009

    • 著者名/発表者名
      佐藤嘉幸
    • 雑誌名

      思想 1028号

      ページ: 193-209

    • 査読あり
  • [学会発表] 新自由主義の競争原理/人文学の無償性2010

    • 著者名/発表者名
      佐藤嘉幸
    • 学会等名
      第18回現代語・現代文化フォーラム
    • 発表場所
      筑波大学
    • 年月日
      2010-02-04
  • [学会発表] 『時間イメージ』における反ベルクソン主義2009

    • 著者名/発表者名
      佐藤嘉幸
    • 学会等名
      表象文化論学会第四回大会
    • 発表場所
      京都造形芸術大学
    • 年月日
      2009-07-05
  • [図書] 新自由主義と権力2009

    • 著者名/発表者名
      佐藤嘉幸
    • 総ページ数
      200
    • 出版者
      人文書院

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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