1、平成21年度の調査では下記の事項を確認し、目下、その成果を報告するための論文を準備中。 (1) シャンフルーリの著書『革命期における愛国的なファイアンスの歴史』(1867)に関する調査 シャンフルーリがフランス各地を旅して約20年間かけて収集したフランスのファイアンスの総数は約600点にのぼる。その大半はヌヴェール産だが、ルーアン、マルセイユ、ムスティエ、リュネヴィル、パリ産のものもある。一連のフランス革命の流れを辿ることのできる貴重な歴史資料的価値のある彼のコレクションをパリ市が一括購入する話もあったが実現せず、1868年春に競売に付されて散逸。このコレクションを基にした研究成果である本書は、好評を博して第3版まで出ており、初版に見られた幾つかの誤りも、第2版において訂正されている。 (2) 「シャンフルーリ関連資料」(パリ装飾美術館図書館所蔵)の調査 シャンフルーリの生活、研究姿勢、交友関係について、次のような情報を得た。シャンフルーリは疲れを知らない収集家としてパリのあらゆる収集家・芸術家に知られており、日曜を除いた毎朝研究に専心し、旅先あるいは通りでは常にメモをとり、その情報を分類した。ファイアンスで埋めつくされたモンマルトルの彼の自宅は、常に訪問者や友人が絶えなかったという。 (3) 「シャンフルーリ関連資料」(国立セーヴル磁器製造所図書館所蔵)の調査 シャンフルイーリは、1872年から1889年にかけてセーヴル製陶所および同博物館の学芸員をつとめた。当時は閑職とみなされた学芸員の職であったが、セーヴルでの彼は、収入源と目録の綿密な調査、およびコレクションの立て直しに尽力した。
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