1、平成23年度の調査では、下記の事項を確認した。 (1)「シャンフルーリ関連資料」(セーヴル国立製造所資料館所蔵)の調査 シャンフルーリがセーヴルで学芸員として活躍した時代(1872-1889)に、彼がフランス内外の陶磁研究者、美術商、芸術家などより受けた書簡を閲覧した。その中には日本人の平山成信、林忠正、大英博物館学芸員のフランクス、英国ミントン社で活躍したフランス人芸術家ソロンなど日本美術に関心を寄せていた人物の手紙も含まれる。これらの書簡は、シャンフルーリの広範な交友関係、及び彼と世界各国の陶磁収集家・研究者との間の情報ネットワークの実態を跡付けるための貴重な資料であるが、これまでそれを詳しく調査した者はいない。 (2)カルナヴァレ博物館所蔵品に関する調査 陶磁器担当の学芸員にお会いし、同館に所蔵されているフランス革命期の陶器(その中にはシャンフルーリ旧蔵のものが多く含まれる)を見学し、それに関する情報(未刊行の先行研究含む)を提供して頂いた。 (3)ナンシー市立古文書館における調査 シャンフルーリの宿敵でもあった19世紀の作家で収集家のゴンクール兄弟に関する資料を閲覧し、東洋美術に関するメモ、著書の草稿、美術商から美術品を購入した際の領収書等を閲覧した。 (4)英国国立美術図書館における調査 シャンフルーリと交友のあった大英博物館学芸員のフランクスが、晩年にフランスを訪れた際に同国で見聞した内容を英国の研究者に報告している手紙、及びソロンが著した陶磁研究書等を閲覧した。
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