20年度は研究課題のうち、他の二人に比べ基礎研究が遅れている中山高陽について集中的に作品調査、関連資料、文献調査を行った。主な調査地は、高陽の出身地である高知県内の機関(高知県立美術館、土佐山内家宝物資料館、佐川町立青山文庫、高知市民図書館)、関西所蔵家、都内関連機関である。高陽については細野正信氏の研究以降あまり進展がなかったが、この度の作品調査で、高知県内の旧家に所蔵され、所在不明であった作品などが発見されたほか、高知市民図書館所蔵の粉本について全作品の写真撮影をすることができ、中山高陽研究に必要な基礎資料をある程度収集することができた。粉本については他に高知県内の個人所蔵のものがあるようだが、これについても今後調査の機会をもてればと考えている。これらを分析することにより、研究課題の「題画文学」の問題のみならず、それ以前の大前提である高陽研究にとって意義があると考える。また、現在、『高陽山人自画題語』『高陽山人詩稿』『高陽山人名印一夕方話』などと作品に記された画賛について校合作業を含めデータベースを作成中である。大雅、蕪村、についてはカタログレゾネ的要素を持った『池大雅作品集』『蕪村全集』などを中心に既に知られている作品の画讃を収集、データベース作成中であり、作品調査についてはリストアップし21年度に行う予定としている。これらの画賛(題画文学)については、可能なかぎり出典調査もすすめたいと考えており現在調査途上である。
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