平成20年度に引き続き、弥勒芸能を図像学の視点から体系化するために、先行研究を参考にして弥勒神の分布図・リストを再構成し、本島26、八重山21の計47芸能について書類調査をした。風流系踊りと来訪神信仰に関する資料収集も行ってきた。現地調査も実施し、現在、その映像と画像を分析する作業を進めている。 1. 伝承誌の作成:平成21年4月~平成22年3月 初期研究として弥勒神に関連する資料を収集してきたが、聞き取り調査を進めていく上で一番の障害となっているのは、出典があいまいな字誌(村落誌)や、用語定義や芸態の分類方法が濫立している研究資料群である。民俗芸能論的な視点や、既存の関連資料を吟味していき、図像学的に分析・分類する基礎研究を行った。 2. 芸態の記録・分析:平成21年7月~平成21年12月 各地の弥勒神の芸態を比較するために、すでに研究代表者が収集したデジタル映像による記録保存を始めた。収集した映像記録から、踊り・道巡りの構成、身体動作の技法、踊り手の仮面・仮装について分析した。それらの結果から、図像学的な視点からの分類を試み、弥勒芸能に顕現する〈弥勒神イメージ〉を体系化する基礎調査を行った。 「マレビト芸能の発生」の論理的構築にむけ、来訪神芸能の比較検証を試みた。特に、久高島の来訪神儀礼(ハンジャナシー)、波照間島のムシャーマ、石垣登野城のアンガマ、竹富島の種取祭、古宇利島のウンジャミ、小浜島の結願祭、大里古堅のミーミンメーなどとの比較検証するために、現地調査を行った。
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